In Search Of The Great Beast 666

HierosPhoenix2008-01-20

In Search Of The Great Beast 666 - Aleister Crowley
Classic Media Group製作 2007年作品
http://www.aleister-crowley-666.com/HOME.html

20世紀最大の魔術師にして世界最大悪人(!)アレイスター・クロウリードキュメンタリー映画です。海外では根強い人気のクロウリー、伝記や評伝は数多く出版されていますが、こういった形の映像作品まで出てくるとはなかなかのものです。

内容はクロウリーの伝記なのですが、ジョス・オークランド(Lethal Weapon2, Watership Down等に出演している俳優)のナレーションを中心に、1947年のクロウリー自身(勿論、俳優が演じているのですが)がヘイスティングの自室から自分の人生を回想するという形でストーリーは進んでいきます。幼少期のプリマスブレスデン時代・学生時代から始まり、Golden Dawnへの参入、ボレスキン(建物の映像は本物のボレスキン)でのアブラメリン実践、パリでのアデプタス・マイナー参入、プライス・ロードの戦いなどコンスタンスに続いていきます。更にはメキシコでのスコティッシュ儀礼33位階の授与、アラン・ベネットとのヨガ訓練、K2登頂、ローズとの結婚からカイロ作業(「法の書」)顛末、A∴A∴設立と「Equinox」の発刊、アルジェリアでのアエティール探索とコロンゾンとの戦い、エレウシス儀礼、アブ・ウル・ディズと第四の書、OTOとの出会いとグノーシスのミサ、パリ作業と性魔術実践、渡米時代、そしてセレマ僧院設立(本物画像あり)などほぼ主要なイベントを網羅しています。

と書くと素晴らしい映画のように思えるかも知れませんが、内容はそれ程素晴らしくはありませんでした。ジョージ・セシル・ジョーンズとの出会いの部分ではフラター・エイカドの写真が出てきますし(ジョーンズ違い!)、Golden DawnのNeophyte儀礼のシーンでは、神殿に謎のファラオの石造なんかがあったりで、魔術的考証は結構いい加減です。クロウリーとローズがエジプトで全裸の怪しい儀式をやっていたりなんかもします。それでもグノーシスのミサのワンシーンなんかは、結構良く出来ていると思います。

面白いのが、クロウリーと関わりのあった様々な人物が、クロウリーとの思い出を語るというコンセプトです。それぞれ俳優が演じているのですが、殆ど似てないと思ったのは私だけでしょうか?主だった登場人物は、マクレガー・マサース(顔の骨格が違うなー)、ローズ・ケリー(なんだか健康的過ぎる?)、アラン・ベネット(ちょっと若過ぎ?)、ビクター・ノイバーグ(なんとも言いようがない。でもクロウリーとの悪しき思い出を語る時、かなりおどおどする様がノイバーグっぽい)、オスカー・エッケンシュタイン(外見は無理やり似せていた)、リア・ハーシグ(かなり雰囲気が違うような・・・)、そしてイスラエル・リガルディー(時代設定は1969年なんですが、ちょっと老け過ぎでしょう)。

この映画は一般向けの作品でしょうし、コアなクロウリー・マニアやThelemiteは特に購入する必要はないと思います。二時間強の作品。あっ、でも音楽担当はかのYESのリック・ウェイクマン先生で、なかなか良い雰囲気を醸し出しています。