天空の女神2

HierosPhoenix2008-01-01

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.

昨年の2月11日に書いた天空の女神との邂逅。
http://d.hatena.ne.jp/HierosPhoenix/20070211

 この体験が強烈な原体験となって、以後の自分の人生に大きな変化が生じたことは以前書いた通りです。魔術にも神秘主義にも全くの門外漢だった自分が突如として体験したサマディーは、神秘性の根源を不意に問いかけてくる不可思議な体験でした。

 無とは死滅や終局ではなく、拡大であり、自覚であり、充足であることを直截的に知ることが出来たものの、その恍惚を再び取り戻すことに成功したわけではなく、私は今も永い帰還の径の途上にあります。天空の女神(ヌイト)の無限の身体(星々)の一部になるということは、イコール無そのものに溶け込むことであり、全体性すら意識しない全体性そのものに「なる」ことを意味します。このモチーフこそがクロウリーが唱え続けた神秘なる魔術体系と『法の書』のスローガンの一つでもある"全ての男と全ての女は星である"の主要な意味であると私は考えます。クロウリーやその数多の追従者、先天的Thelemiteは、その径の途上にあり、人間であることに苦悩しながら、その梯子を昇り詰める作業に従事しているのです。この天国への階段は、先駆者達により熟考され、分析され、集約され凡そ下記の段階が定義されたのです。

=大いなる術= The Great Work

マルクト   汝自身を知れ
イェソド   真の意志の発見
ティファレト 聖守護天使の知識と会話
ケテル    神との合一 

生きる者は生命の樹の中央の柱を上昇しながら、己の本質に絡みついた曇りを少しづつ取り除いていくのです。

・マルクト   汝自身を知れ

 真実の己を知ろうともがけば、もがくほど真実の己はどんどんと曖昧なものになっていきます。神や女神を瞑想すればする程、そういった神聖原理から遠ざかっていくことに気付きます。それでも尚且つ、己を知ろうとすること、それを 宣言することは至宝への道程なのです。Why? を無限に繰り返しながらでも自己存在を問い続ける。多分、それをいくら思考したところで何も見出されないでしょう。だからこそクロウリーが提唱した魔術や神秘主義という実践的アプローチが重大な意味を帯びてくるのです。

・イェソド   真の意志の発見

 人間が誕生し、生まれ死ぬ輪廻。真の意志とは人間が究極存在へと回帰しようとする永遠の衝動なのです。真の意志のみが神を知りうると確信して、その衝動を解放するプロセスが存在します。永久への回帰願望を自覚して"今、ここに存在する"自由への無限の渇望として真の意志を探求する必要があります。

 ここで私達は、自分と「全」との仲介人、宇宙を構成する不可欠のパートナーを探し出す過程に入ります。

・ティファレト 聖守護天使の知識と会話

 「聖守護天使の知識と会話」は聖なる婚礼と見做され、「大いなる術」の重要な通過点と看做されます。ここでいう聖守護天使は象徴的には人間=五芒星=小宇宙に対する六芒星=大宇宙と看做されます。ABRAHADABRA! 五つのAは燃える五芒星、そして六つの文字は輝く六芒星。新たなアイオンの力と炎、上昇の為の推進力を担う者が聖守護天使です。聖守護天使は世俗の事柄には一切無関心、というよりもそのような事柄については全く理解できないものの、志願者の熱意を上昇力に変換する秘密の名前と術式を志願者に授けるのです。

・ケテル    神との合一 

 "大いなる術"の完成。そして、その先については誰も知り得ることは不可能です。

 星の魂を自覚し、あらゆるものに差異がないことを0=2の公式の下に自覚していく。「大いなる術」は、"分解し再び凝固させる"プロセスを志願者に説きます。破壊と復讐の神、ラ・ホール・クイトの加護のあらんことを! 全ての男と全ての女はヌイトの子宮より産まれ、やがてはそこに回帰していくのです。ヌイトとは固有の神を表す名前ではなく、洋の東西を超えた"無限"を表す完全なる本質のことなのです。

Love is the law, love under will.