ビジュアル・マントラ

HierosPhoenix2007-01-21

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.

シンボルは、意識言語と無意識言語の橋渡しを行うフォースの乗り物です。伝統的な魔法の教室では錬金術の三原理や四大元素占星術の惑星や12宮のシンボルが最初に教示されます。シンボルは、ある性質・傾向・情動・気質・状態・感情等を表象する小さくて素朴なデザインです。その一つ一つが異なる固有の概念を無意識へと運搬し、儀式魔術を構成する具材となります。

ポール・フォスター・ケースは比較的複雑なタロー・カードの象徴を細分化したり複合させたりして、人間のプシュケとマクロコスムの相関関係を紡ぎだす20世紀の天才の一人でした。彼は連続するタロー・キー(大アルナカ)によってタロー言語を構築し、意識言語と無意識言語の対話と調和を実現したわけですが、その秘密は未だに彼の設立した魔術スクールに温存され公開されていません。

他方、非常に個的な象徴を独自に発見し、そられを組み合わせ欲望そのものをシンボルに乗せ無意識の大海を航海する器用な船乗りもいます。オースティン・オスマン・スペアはその代表格ではないでしょうか? シジルと欲望のアルファベットの差は前者が通常のアルファベット(別に英語でなくとも良いわけですが)を用いて、それに個々の想像力や装飾、簡素化の技術を駆使してシンボルへと昇華させるのに比べ、後者は自動筆記などの比較的繁雑且つ困難な方法によって得られる根源的な欲望のシンボルそのものだということです。芸術的センスがなければ、無意識と上手くコミュニケートして線画を受け取ることは難しいでしょう。またキャロルのように感情を構造化して伝統的な魔術のシンボルと結合させる魔術師もいます。
いずれにしても、皆器用なので驚いてしまいます。

個的なシンボルを獲得する最も確実な方法であるにも関わらず、あまり多くを語られることがない方法が星幽界探訪による方法です。具体例を示しましょう。まずは自分が得たいと思う目的のシンボルを得ることを最初に念じつつ、アストラルの扉を視覚化します。眼を閉じた状態で、後頭部に意識を集中しながら脳のスクリーンに光の線を投射し、扉を描きます。眼を閉じていながらも三次元的な立体感覚を再現されることが重要です。そのまま扉の向こう側へ進みます。

そこに広がる光景が海辺であったとしましょう。まず最初に行うことは、その世界を案内してくれる精霊を呼ぶことです。言葉に出しても良いし、念じてもOKです。精霊は海洋に浮かぶ絶海の孤島に誘ってくれるかも知れませんし、鬱蒼としたジャングルに案内してくれるかも知れません。いずれにしても自動筆記同様にリラックスして流れに任すことが重要です。精霊が特別な場所に案内してくれたら、目的とするシンボルを授与してくれるよう依頼すれば良いのです。

この方法で得ることができる個的なシンボルは線画ではなく、画像もしくは映像である場合もあります。私は円形の台に埋め込まれたエメラルドの十字架の上に三重の環が装飾されたシンボルをもらったことがあります。つまりフルカラーなのです。
これらのシンボルは一つが一つが意味のある"単語"に相当するため、幾つかのシンボルを横一列に並べた時に、欲望の文を構築することが可能になります。

例えば、就寝する前にこの文章を視覚化しながら眠ります。文章と同じように意味のある単語が順番に視覚化され反復されます。私はそれをビジュアル・マントラと呼んでいます。例えば夢の中で水星に関する夢を見たければ、相当するシンボルを組み合わせ文章を作り、眠りにつくまでひたすらビジュアル・マントラを反復するわけです。不思議なことに(魔術的とは云えない場合もありますが)、夢の中に水星に関連する印象深いストーリーが展開されるのです。単語の量を増やせば、ボキャブラリーが豊富になり、言語が発達します。この方法はなかなか面白いと感じています。

クロウリーはA∴A∴のニオファイトに未知のシンボルを手渡し、その意味を星幽界で探索させるといったような試験を課していました。この場合、最初にシンボルありきなのですが、当然逆の方法もあり得るわけです。つまり「なになにに相当するシンボルを星幽界で見つけてこい」というものです。

やはり人とは未知なる生き物なのです。

Love is the law, love under will.