The Lord of Creation

HierosPhoenix2010-04-23

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.

“座し、そして魔法をかけるがよい。彼自身をして力強さの只中より引き出すのだ。膨張と緊張のまま立ち上がれ。頭部から素早くフードを脱ぎ去り、そのバシリスクの眼を悪魔のシジルの上に定めるがよい。彼の喉から「言葉」が迸るまで、サトゥロスの沈黙の如く彼の力を揺り動かし、そして戻すのだ。”  「アアシの書、あるいは精霊の山羊の書」

 1904年のクロウリーの『法の書』受領に続き、彼が彼自身の聖守護天使アイワスから授かったA級文書が存在することは以前書きました。『法の書』を含む13種類の文書群がそれで、O.T.O.の首領だったグラディー・ルイス・マクマートリーによって「セレマの聖なる書物」として一冊に纏められたのは1983年のことです。その中の一冊、「アアシの書、あるいは精霊の山羊の書」(Liber A’ash vel Capricorni Pneumatici)は、クロウリーによれば”全ての実践魔術の真の秘密を包含する”書物です。とはいえ、この書は39節からなるとても短い書物で、1911年にクロウリーが書き留めた聖なる書物の一冊です。

 「アアシ」とはヘブル語のアイン + シンの二文字からなる単語で、クロウリーが編纂したゲマトリア辞典「セフィール・セフィロス」によれば、その意味は「創造(Creation)」で、その数値は370(アイン = 70, シン = 300)です。従って、この短い書物は、「第370の書--創造の書、あるいは精霊の山羊の書」と呼ばれています。A級文書は、どれも難解かつ複合的な意味合いを持つ一連の言葉で綴られており、どの書物に関しても完全な解釈・理解は不可能だと考えられています。その理由は単純で、一つの言葉、あるいは一連の文脈の中に、複数の概念と意味が(意図的に!) 仕込まれているからです。『法の書』解釈の為のキー・ワードはセレマ 意志とアガペー 愛とその数値「93」です。「アアシの書、あるいは精霊の山羊の書」に関しては「創造」という言葉そのものがキーとなります。

“汝は、「眼」と「歯」、「精霊の山羊」、そして「創造の主」として我を崇めよ。我は三角形の中の眼であり、汝らが崇める「銀の星」なのだ。我はバフォメット、「三」と均衡する「八重の言葉」である。” 三角形の中の眼は、クロウリーの魔術団体「銀の星」団の重要なシンボルであり、団員のフードの額の辺りに六芒星形の光彩とともに美しく刺繍されています。このシンボルの意味について、「アアシの書、あるいは精霊の山羊の書」は、「創造の主」こそが、それそのものであると指摘しています。「眼」はアインであり、「歯」はシンを意味します。二つの文字の連続である「アアシ」= 創造は、そのものズバリ「三角形の中の眼」なのです(シンに対応する元素は「火」で、そのシンボルは上向きの三角形です)。このことから、私達は”全ての実践魔術の真の秘密”とは「創造」であり、その力の現出に、「精霊の山羊」が関連していることを知ります。

トート・タローの15番目の札には、ヒマラヤの山羊が君臨しています。彼(厳密には両性具有ですが)は、創造の神パンであり、万物の生みの親であり、最も物質的な創造の奔流を表しています。彼はまたバフォメットであり、その額には第三の眼が描かれています。この邪悪な山羊 = 悪魔こそが創造の主催者であり、未だ未開発な魔術師のアーキタイプなのです。「アアシの書、あるいは精霊の山羊の書」にA.O.スペアの「ゾス・キア・カルタス」と一脈通じるものを感じるのは私だけでしょうか? 創造とは人に委ねられた偉大なる真実であり、その発現は秘められた悪魔の跳躍によって実現します。バシリスクの眼を悪魔のシジルの上に固定したあなたには何が見えるでしょうか? 「三角形の中の眼」は、その真の働きを秘めたまま、あなたの中に実存しているのです。

Love is the law, love under will.