日本語Gnostic Mass

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.


2016年6月26日東京都内某所。さして広くない神殿スペースはO.T.O.の中核儀式「グノーシスのミサ」の美しい装飾と海外・国内から参集した40人程の参列者で溢れ返っていました。この日行われたミサは、本邦初となる日本語による「グノーシスのミサ」です。これまでNihil Lodgeを中心として日本で祝祭されてきた「グノーシスのミサ」は全てアレイスター・クロウリーが書き記した言語、即ち英語で祝祭されてきました。今回の日本語のミサは私のFacebook pageで簡単な告知が出されるや否や、瞬く間に世界中からお祝いと激励の書き込み、メッセージを頂きました。またO.T.O. 米国グランド・ロッジのBlogでも取り上げていただき、その反響の大きさに驚きました。日本人が、彼らの第一言語でミサを祝祭する、そのことは我々が追及するThelemaの径が確実に日本で拡大していくであろう一つの証左として彼らの眼に映ったのだと私は想像しています。


グノーシスのミサは、我々の啓明と参入の公的礼拝であり、OTO の神学による解放の祝祭である」と定義した兄弟Shivaは、ある時私にこう言いました。「多くの人が、O.T.O.の兄弟姉妹であろうともミサを大いに誤解している」と。「グノーシスのミサ」に対して誤解している人々は、それをPerformするという表現をしばしば用います。ミサを表面的に、即ちセッティングの美しさやドラマティックな演出にだけ着目すると確かにそれは一種の舞台芸術の類であると言えます。一方、ミサの内容に踏み込み、その魔術的・哲学的・宗教的エッセンスに触れた人達は決してそれをPerformするとは表現せず、Celebrate祝祭すると表現します。ここにミサの存在意義そのものがあります。

グノーシスのミサ」が参列者に与える重大な示唆は、クロウリーが「復活の契約」と呼んだ人間性の主体の奪還にあります。「我の中にありて、神に非ざるものなし」という宣言、新たな神学に基づく人間の主体性の自覚と解放こそがミサの重要な働きであり、それは人々に微睡からの「覚醒」をもたらします。ミサが含む聖餐式において参列者は、主の肉体と血を、「光のケーキ」と「葡萄酒」という形で体内に摂取します。そして、聖化された秘蹟を摂取する時、正に「聖人達との霊的交流」と呼ばれる不可視の力流とのCommunionが成立します。さて私たちが摂取する聖餐とは実際の所、「混沌」と「ババロン」の子供、両性具有の「バフォメット」の肉体と血です。ここにクロウリーが「グノーシスのミサ」に付与した番号XV (15) の意味が明らかになります。そうタローにおけるAtu XVとは即ち「悪魔」です。さて私たちのグノーシスカトリック教会のミサとは単なる悪魔崇拝儀礼なのでしょうか? あなたはミサに対する興味を失うかも知れません。ここで悪魔 = パフォメットのヴェイルを剥ぎ取る為に、少しだけ解説が必要であると思われます。

グノーシスのミサ」において参列者総員が読み上げるグノーシスカトリック教会の「信条」にはバフォメットの秘密に関する有益なヒントが隠されています。

“そして、我は〈叡智の洗礼〉を認め、ここに我らは〈顕現の神秘〉を成し遂げる。”

クロウリーが影響を受けた東洋学者ジョセフ・フレイハー・ボン・ハマー・パーグスタールによれば、バフォメットとは< バフェ ・ メティス >、即ち「叡智の洗礼」を意味します。アレイスター・クロウリーの解釈によるとそれはまたBAFOMIThR < 父ミトラ >となり、それは牧神パン (Pan Pangenetor、 All-Begetter )、タロット・カードの< 悪魔 >を示唆します。バフォメットは両性具有で、それはまたO.T.O.の至高聖王としてのクロウリーの名前でもあります。クロウリーはバフォメットについて『アレフの書』にこう記しています。

“それ故に彼は真の魔術のシンボルであり、その名はバフォメットである。私はトートの15番目の札として彼をデザインした。それは私がかつてアルフォンス・ルイス・コンスタントとして受肉していた時代のことだ。私は、大達人としての魔術の綜合の仕事として『高等魔術の教理と祭儀』を書き、その第二部の最初に彼のイメージを掲載した”


クロウリーはかつての聖堂騎士団が崇拝したとされる悪魔バフォメットの滑稽な偶像を換骨奪胎し、真の魔術のシンボルとして聖化したのです。そしてバフォメットは叡智と完成のヒエログリフであり、太陽の座ティファレトに君臨し宣言します。「分解し、また統合せよ」。更にバフォメットは「全」たる「創造者」です。A’ASHアアシ (アイン、シン) は「創造」を意味するヘブライ語で、その数値は370です。A∴A∴のA級刊行文書『第370の書、山羊の精霊の書、または創造の書』は高らかにこう述べます。

“汝は「眼」と「歯」、山羊の精霊、創造の主として私を崇める。私は三角形の中の眼で汝が崇める銀の星である。私はバフォメット、そは「三」を均衡させる八重の言葉なり”


アレイスター・クロウリーが解釈した名前、BAFOMIThR < 父ミトラ > は「グノーシスのミサ」の秘密を紐解く重要な綴りとなっています。その神の名は三つの母音を含んだ八文字の言葉でもあります。そして神ミトラはミサで司祭が帳を開く際に召喚される神の一人です。

“ IÔ IÔ IÔ IAÔ SABAÔ KURIE ABRASAX KURIE MEITHRAS KURIE PHALLE .
IÔ PAN, IÔ PAN PAN IÔ ISKHUROS, IÔ ATHANATOS IÔ ABROTOS IÔ IAÔ.
KHAIRE PHALLE KHAIRE PAMPHAGE KHAIRE PANGENETÔR.
HAGIOS, HAGIOS, HAGIOS IAÔ. “< 父ミトラ > は蛇杖Caduceusを持つ獅子頭の神で、クロウリーが重要視した神格 < Lion-Serpent > そのものです。「獅子-蛇」はトート・タローの「欲望」の札に表象される「混沌」と「ババロン」の結合を表し、バフォメットの出現を示唆しています。「欲望」の札に対応するヘブライ文字は「テス」でその意味は「蛇」です。またこの札には「獅子宮」が対応しています。「欲望」の札は、「グノーシスのミサ」のダイナミックな力流と「Lion - Serpent」の秘儀を単一で表象する特別な札だといえます。「グノーシスのミサ」ではこの強大な獅子-蛇の神が司祭によって召喚されます。

おお〈獅子〉よ、おお〈蛇〉よ、破壊者を破壊したる者よ、我らの中で強くなりたまえ。
おお〈獅子〉よ、おお〈蛇〉よ、破壊者を破壊したる者よ、我らの中で強くなりたまえ。
おお〈獅子〉よ、おお〈蛇〉よ、破壊者を破壊したる者よ、我らの中で強くなりたまえ。


グノーシスのミサ」は、その内にOTO の最奥義である第九位階の秘儀を含んでいます。トート・タローの「欲望」の札に描かれている相反する二者 ( 男と女、太陽と月、シヴァとシャクティ、司祭と女司祭など ) の「意志の下にある愛」による結合と、それに続く子供の誕生は、確かにO.T.O.を社会的科学的啓明主義者たらしめている基盤の論理です。カバラ的な設定に基づき、「生命の樹」が再現された神殿、眠れる魂を呼び覚ます「復活の契約」、「聖者たちとの霊的交流」、秘蹟拝受 = バフォメットの肉体と血の摂取、「人間 = 神」の宣言、そして、そこには「大作業 Great Work」の大いなる叡智が脈動しています。

グノーシスのミサ」の冒頭で、助祭と参列者によって詠唱される「信条」、この中にこそ正にミサのエッセンスの全てが語られています。ミサに初めて参列した多くの人達にとって、それは不可解な言葉の羅列に過ぎません。勿論、容易にその意味を推し量ることは困難です。しかし「信条」に込められた無限の叡智は、全ての参列者にアイオンの真実を如実に語りかけるでしょう。 「信条」をここに引用します。


“ 我は信じる、一なる秘密にして口にしてはならない《主》を。
〈星の仲間〉の中の一つの〈星〉の火で我らは創られ、そこへ戻っていく。
〈生命〉の〈父〉、〈神秘の神秘〉、その名を《混沌》、〈大地〉に於ける唯一の
〈太陽〉の副執政、息をするすべてのものを養う〈空気〉を。
 そして、我は信じる、〈大地〉、我らすべての〈母〉、すべての人間を生み、
そこに休む〈子宮〉、〈神秘の神秘〉、その彼女の名《ババロン》。
 そして、我は信じる、〈蛇〉と〈ライオン〉を、〈神秘の神秘〉を、その彼の名《バフォメット》。
 そして、我は信じる、〈グノーシス〉と〈光の〉〈生命〉、〈愛〉、〈自由〉の〈カトリック教会〉を、
その〈法の言葉〉は《セレマ》だと。
 そして、我は信じる、〈聖人達〉の交わりを。
 そして、肉と飲み物は日々我らの精神的な物質の中に変化しているため、我は〈ミサの奇跡〉を信じる。
 そして、我は〈叡智の洗礼〉を認め、ここに我らは〈顕現の神秘〉を成し遂げる。
 そして、我は我が命一つ、個人のそして過去、現在、未来に永遠のものであることを認める。
 AUMGN。AUMGN。AUMGN。”



グノーシスのミサ」が内包する叡智はアイオンの魂にして、「復活の契約」の証でもあります。またその儀礼は私が個人的に「血の循環」と呼ぶ、A∴A∴とO.T.O.の二重性を機能的に完成させる壮麗な祝祭です。それは明らかに単なるPerformanceや演劇ではありません。それは観るものではなく自らが参加するものです。鑑賞ではなく自発的参画を私たちに促すものです。

最後に初の日本語の「グノーシスのミサ」祝祭に当たり惜しみない労力をご提供いただいたDeus Solis Ra CampのSr. C.E.S.とFr. V.C.S., 二人の子供達 Fr. AizenとSr. O.I.L.、そして参列いただいた国内外の全ての兄弟姉妹、ならびに友人たちに深く感謝申し上げます。

Love is the law, love under will.

ヒエロス・ガモス 〜聖なる婚礼と魔術儀式〜

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.



アレイスター・クロウリーが東方聖堂騎士団 ( 以下O.T.O. ) の為に書いた団の文書は複数あります。それぞれの位階の参入儀式の数々は、元来フリーメーソンリーのブルーロッジの3位階とロイヤル・アーチ、薔薇十字、聖堂騎士団等の秘儀を扱うメーソンリーの高位階の保守的な諸儀礼の革新という形で団内に温存されています。その他、団の声明書やセレマに関する指南書、倫理に関する指導書等多数に上りますが、特筆すべきは第七位階以上の団員への特別指導書を除くと、第十五の書として知られる「グノーシスのミサ」ということになります。

O.T.O.は専らセレマの哲学を礎にしたモダン・フリーメーソンリーであり、< グノーシスカトリック教会 > (Ecclesia Gnostica Catholica)を内包しています。そして「グノーシスのミサ」はO.T.O.の中核儀式として一般公開されている典礼です。兄弟Shivaの言葉を借りると「グノーシスのミサ」は、「私達の啓明と参入の公的礼拝であり、O.T.O.の神学による解放の祝祭」ということになります。その秘密は「復活の契約」と呼ばれる大宇宙にリンクした小宇宙としての人間の本質の宣言と「聖人達との霊的な交流」の実現です。ミサは聖餐式を伴い、参列者は聖化された葡萄酒と『法の書』に於いて示唆された「光のケーキ」を体内に取り入れ、その秘蹟を拝受することになります。「グノーシスのミサ」の神殿そのものは空間に展開された「生命の樹」そのものであり、ミサのプロセスはマルクトから深淵の帳を踏破する「大作業」のダイナミズムが象徴的に表現されています。

今回、聖ヴァニラ学園様のお誘いを頂き、下記のイベントにて講義することになりました。

2016年4月30日(土)
魔術学講座vol.11 儀式魔術復活譚―聖婚とオカルト象徴学
「 ヒエロス・ガモス 〜聖なる婚礼と魔術儀式〜」
http://www.vanilla-gakuen.com/kouza/1605/index.html

今回の会場は、東京 銀座の地下に鎮座する「BAR十誡」です。”「好事家の書斎”をコンセプトとした、感性を限りなく刺激するブックライブラリースタイルのカフェ・バー」とのことですが、好奇心と探究心をくすぐる素晴らしい知の書斎です。

http://www.zikkai.com/

講座ではなるべく平易な表現や映像を交えながら、この聖なる婚礼の儀礼と魔術儀式の実際について解説してみたいと思っています。魔術や儀式に関心をお持ちの皆様、是非会場にお越しください。Dr. Dさんや魔術堂のKATORさんとのコラボも楽しみです。
では、皆様にお会いできることを楽しみにしております。


Love is the law, love under will.


社会的科学的啓明主義

汝の意志することを行え、それが法の全てとなろう。


今回は昨年3月に東京で実施されたO.T.O.の講義を公開させていただきます。


社会的科学的啓明主義


様々な調査プロジェクトによって私達の「団」、東方聖堂騎士団の歴史に関する詳細な議論が展開されてきています。特にドイツ語圏、並びに米国滞在時のバフォメットX°の団の立ち上げについては、多くの資料が活用できるようになっています。この数年、様々な研究者が私達の「聖なる団」の設立の謎に挑み、またそこから私達は多くの新事実を知るに至りました。

『第52の書』(『春秋分点』第三巻1号所収) と呼ばれるOTOの声明書は、私達に極めて初歩的な情報しか与えてくれません。『アバの書』付録I所収のOTOの公的指導によれば、その声明書は、団の作業の総計に関する基礎的概要を含んでいると説明されています。しかし、アレイスター・クロウリーのこの最初のOTOの声明書だけでは団の作業は極めて不明瞭なままです。声明書はこう宣言します。
「OTOの目的は、団の最高位の参入者のみによって十全に理解される。しかし、その内実については、こう述べられるであろう。ヘルメス的科学、或いは隠秘学知識、純粋なる光の神聖魔術、神秘的達成の秘密、全ての形態のヨガ、ナーナ・ヨガ、ラジャ・ヨガ、バクタ・ヨガとハタ・ヨガ、そして古代の隠された叡智の全ての学派に関してOTOは教示する、と。」

これらの記述は、OTOに関する作業を理解する上では有用なものに思えます。しかしながら、私達の全てが認識しているように、OTOは所謂 教育団体ではなく、ヨガの全ての形態、実践的儀式魔術、又はカバラの魔術等に対して明確なカリキュラムを定義していません。『第52の書』の記述は、基本的に「東方の聖堂騎士団の古代結社の憲法」と題された文書に依拠しています。この文書は、1906年に現代OTOの二代目の「団の外なる長」である兄弟マーリン・ペレグリヌスX°、テオドール・ルイスによって公布されたものです。テオドール・ルイスは、OTOとは「マギの学舎」ないしは、「ヘルメス的科学の団」であり、より重要だと思えることは、彼が団内に「指導過程」が存在していると述べていることです。このように、団の古い記述により、私達は団の作業が如何なるものであるかについて戸惑いを覚えることもあるでしょう。


< カール・ケルナー X° / テオドール・ルイスX° >

OTOは、私達の霊的父であるカール・ケルナーによって設立されました。彼は、オーストリアの裕福な製紙化学者でした。彼は、メイソン・システムと東洋の神秘主義の真摯な追及者でした。ケルナーは、「メイソン大学」のアイデアに肩入れしており、それはフリー・メイソンリーの様々な高位階システムの集合体によって形成されていました。1895年、ケルナーと「ババリアイルミナティ団」の復古者でもあるテオドール・ルイスは「メイソン大学」の設立の相談を開始します。ケルナーは、新しい組織の名前を「東洋の聖堂騎士団」にすることを決定しました。
それは、「メンフィスとミツライム」の高位階群、「光のヘルメス的同胞団」の薔薇十字秘教学、更に全てのメイソンの象徴体系が並列されているオカルト・インナー・グループと呼ぶに相応しいものでした。「東洋の聖堂騎士団」の設立には多くの秘教結社の影響が注ぎこまれています。主要なものを上げれば、メイソンリーの「古代公認スコテッシュ儀礼」、メイソンリーの「スウェーデンボルグ儀礼」、「マーティニスト」団等です。しかし、私はここに1880年ミュンヘンにてテオドール・ルイスとレオポルド・エンゲルによって復活された「イルミナティ」団の重要性を強調したいと思っています。私達は、ここでこの「イルミナティ」団について基本的な事実を知るべきです。


<アダム・ヴァイスハウプト >

オリジナルの「イルミナティ」団の設立者は、私達の「グノーシスカトリック教会」の聖人の一人でもあるアダム・ヴァイスハウプト(1748-1830年)です。彼はバイエルンのインゴシュタット大学の教会法の教授であり、フリーメイソンでした。アレイスター・クロウリー、バフォメットX°は、彼のことをA∴A∴の「神殿の首領」8=3マジスター・テンプリであると見做していました。それはまた深淵を越えたA∴A∴の「第三団」であるSilver Star団の成員であることを意味します。「グノーシスカトリック教会」の聖人達は、またA∴A∴の第三団「銀の星」の成員でもあります。ここにA∴A∴とOTOの明確な繋がりがあります。二重性。


<イルミナティの諸位階 >

ヴァイスハウプトの「イルミナティ」団のイニシエーション・システムに於ける諸位階は、私達OTOと同様に大きく三分割されています。それらは「養成位階」、「メイソンリー位階」、大密儀と小密儀を含む「密儀位階」として三分割されています。それらの三分割の中には、それぞれまた個別の位階があります。「養成位階」には、<修練者>、<ミネルヴァル>、<小啓明者>の各位階があります。
「メイソン位階」には、<大啓明者>と<教導啓明者>があり、「密儀位階」には、<司祭>または<秘儀参入者>と小密儀を含む<統治者>の位階があり、これに魔術師<メイガス>の位階が続きます。最上級の<王>の位階は大密儀を含んでいます。「イルミナティ」団の位階には、他にも様々なバリエーションが存在していて位階の呼び名も一様ではありません。私達が手に取れる団の歴史書によれば、そのバリエーションの理由が、ヴァイスハウプトの同盟者であったバロン・アドルフ・フランツ・フリードリッヒ・クニッゲ男爵(1752-1796年)にあることが解ります。「イルミナティ」団の位階システムと諸儀礼は、主にこのクニッゲ男爵により創作され、また彼の力によってヨーロッパ全土に拡大していきました。


<王>

ミネルヴァルの位階は「イルミナティ」位階の二番の位階であり、私達はその位階の名称を他の古典的なメイソンリーの諸システムに見出すことはありません。あなたが既に認識しているように、OTOの少なくとも二つの位階の名称が「イルミナティ」団に由来しています。第零位階であるミネルヴァルと、第8位階である<イルミナティの完全なる大司教>、<イルミナティの秘儀参入者>です。私達が書店へと赴けば、私達は簡単に貧相なイルミナティ陰謀論、「ニュー・ワールド・オーダー」に関する本を手に取ることができます。「イルミナティ」は、未だに人々の妄想と恐怖を投影する魔法の鏡です。

ヴァイスハウフトは、社会的平等と自由を強調する急進的思想の持ち主でした。彼は、全ての人々は「王」であると主張していました。彼の敵はローマ・カトリック封建制度と王位・王権・王政であり、しかしながら彼は決して暴力の唱道者ではありませんでした。彼は人々の倫理と道徳の変化と進化による平和的革命を目指していたのです。彼の主張は保守的な人々にとっては危険な政治思想でしかなく、確かに彼は迫害を受けていました。私達は、しかしここにラー・ホール・クイトの方法、人類の為の理想的革命の種子を見出します。マジスター・テンプリであるアダム・ヴァイスハウプトは、全ての人間は「王」であると宣言しました。「全ての男と女は王なり」、しかし、それは私達にとっては、もう余り意味を持たない概念です。


<オズの書>

私達のグランド・マスター、バフォメットX°は『オズの書』を書き表しました。これはOTOの計画の要約であり、道徳的、肉体的、心的観点、そして性の自由と虐殺者からの防衛という観点に於ける人間の権利に関するOTOの新しい声明書でもあります。「人間以外に神はなし」とは私達の宣言であり、「我の中に在りて神ならざるものなし」とは私達の「真なる性質」です。

実際のところ、この講義はOTOの歴史講義ではありません。科学的啓明主義の性質を理解するための講義です。1906年に公布されたテオドール・ルイスの憲法にはセレマのコンセプトは存在していませんでした。団は「ヘルメス的科学」団から、「社会的科学的啓明主義」団へと変化し、アレイスター・クロウリーという一人の傑出した参入者によって、セレマの普遍的同胞団へと進化したのです。


<フラー >

J.F.C.フラーは、クロウリーの高名な弟子であり、A∴A∴の最初のキャンセラリウスでした。彼は、自身の「カバラの秘密の叡智」の中でこう書いています。

「啓明主義とは、光の普遍的科学として定義できるだろう。それは単に霊的な意味合いだけではなく、完全なるミステリーである物理的な性質を含む光でもある。「神」とは「光」なり。光無なき世界が創造され、生命はそこから形式的に変化し、光として活動する。死とは、その暗闇の影である」

科学的啓明主義は、無知と古き信仰、誤解に依拠する信念、そして偏見に満ちた暗き地球の硬直した諸概念を照らすでしょう。社会的科学的啓明主義は、無意識や古きアイオンのあらゆる死せるドグマの領域を照明する力を持っています。


<聖堂騎士団と暗殺団(アサシン)>

ジェームス・ワッシャーマンは、『聖堂騎士団と暗殺団』の序文に於いて、「神秘的秘密結社」をこう定義しています。

「神秘的な秘密結社は、あらゆる時代と文化に存在したイニシエーションと霊的な自由へと献身する。アボリジニ部族民の神話的召喚であるデーヴィッシュの恍惚的旋回も、それらの結社も目的は同じである。グループ・セッティング内に於ける、個々の意識のプログミングされた変容である」


<アバの書>

この議論で、最も重要な点は「団」に於けるあなたの魔術カリキュラムは、あなたの「意志」に基づき、あなた自身で決定しなければならないということです。私達の真なる団の長である兄弟ハイメナエウス・ベータは、『アバの書』所収の付録の中でOTOのカリキュラムについてこう書いています。

「東方聖堂騎士団は、古きアイオンの時代に「セレマの法」を受け入れた最初の結社である。それはアレイスター・クロウリー(バフォメットXI°)によって、再構築され、とりわけセレマの法の公布に於ける宗教的、人道主義的使命を活性化し、聖別した」

「OTOは、A∴A∴と同様な感覚で教え、また参入させるのではない。明確なカリキュラムは未定義で、また殆どの位階において試験されることもない。OTOの真のカリキュラムは、各個人の人生と不可分であり、それぞれの参入者のカリキュラムはそれぞれにユニークである」

OTOは現在の子供のアイオンに於ける「セレマの法」を普及する為の基礎的団体です。さてセレマとは何でしょうか?

セレマとは、文字通り解釈するならば、「ホルスのアイオン」に於けるセレマイト達にとっての魔術的、哲学的、宗教的システムです。それは意志に基づき変化を引き起こす科学にして芸術である魔術の実践的メソッドであり、「セレマの法」と共にある人類の解放の哲学であり、同時に「神は人なり、人は神なり」をモットーとした宗教的システムです。そして私達の宗教的活動体として「グノーシスカトリック教会」があります。OTOは、古きアイオンの中で、最初に「セレマの法」を受け入れた結社であり、それ故にOTOこそはセレマのイニシエート達の結社と定義できます。


<青の春秋分点 >

アレイスター・クロウリーは、『青の春秋分点』の編集者論説で重要な考えを述べています。A∴A∴は、霊的進化の径を提供し、個としての探究者を啓明し、指導します。OTOは、連続するイニシエーションを通じて集団を訓練します。私が、数年前に良き友人でもあり、師でもある兄弟シヴァから、初めて「二重性 Duplexity」の概念を聞かされた時、私は本当にエキサイティングな感覚に包まれました。2010年頃のことでしょうか、私と彼は東京の彼の宿泊先で、A∴A∴とOTOの性質について話し合っていました。無知な私は、OTOはA∴A∴のアウター・オーダーのようなものだと言いました。彼は、勿論、その陳腐な意見に決して賛同しませんでした。考えを重ねた今では、OTOが決して他のいかなる結社のアウター・オーダーでもないことは自明の理となりました。私はA∴A∴とOTOの違いを強調しなければなりません。それらは、完全に独立しているものの、互いのカリキュラムは時に関連し合い交差するということです。さて、私は、OTOの性質に於ける調査と沈思黙考を開始しなければなりません。それは私達の「聖なる団」のエッセンスに関する個人的な意見です。団の秘密を探究する象徴的な魔術の小旅行に出掛けましょう。



<バフォメット>

まず、最初に私達は『第194の書 団の憲法への言及と通達』に於いて、団に於ける「三つの位階」のシステムに関する下記の言及に出会います。

「我らの聖なる団を学ぶべし。しかし、そこには「三つの真なる位階」がある。それは『法の書』に記載されている。<隠者>、<恋人>、<大地の男>の三位階である。」

言うまでもなく、OTOに於けるこれらの「三つの真なる位階」は『法の書』の第一章40節に書かれています。<法の書 第一章40節 >

「われらをセレマイト,Thelemitesと呼ぶ者、彼がその言葉を綿密に調べるならば、間違いを犯すことはないであろう。そこには隠者、愛する者、地上の人間、という三位階があるからである。汝の意志することを行え、それが法の全てとなろう。」

『春秋分点』第一巻7号所収の『法の書』の古い解説において、アレイスター・クロウリーは「法の言葉」であるΘελημαを下記のように分析しています。


<対応1.>

“ Θε, 隠者, 不可視なるヨッド, しかし、啓明する。A.’.A.’.  札9 隠者

λη, 恋人, 稲妻の閃光としての可視なるヴァウ、達人の団、 札6 恋人たち

μα, 大地の男 ペー 雷光の塔、 札16 塔

3つの鍵を足し合わすと 31 = LA Not and AL God.”

これは「セレマ」という語を理解しようとするためのゲマトリアを用いたシンプルな一例です。アレイスター・クロウリーは、セレマという言葉とOTOの「三つの真なる位階」に三枚の大アルカナを対応させました。札9 「隠者」を<隠者>の位階に、札6 「恋人たち」を<恋人>の位階に、札16 「塔」を<大地の男>の位階にそれぞれ対応させました。札の数を合計します。 9 + 6 + 16 = 31。『法の書』の鍵でもあるLA (Not) とAL (God) の数値です。さて<隠者>の位階に「隠者」のカードを、<恋人>の位階に「恋人たち」のカードを配当することは理に適っているように思えます。ただし、「塔」のカードを<大地の男>の位階に配当することは、何だかしっくりこないと思いませんか?

さて同様の試みは、チュニジア滞在時のアレイスター・クロウリーの魔術日記の1923年7月28日の記録に見て取れます。


<対応2.>

アイワズの名は三つの位階を示唆する。

ヨッド = 処女宮= 隠者  札9
ヴァウ = 金牛宮 = 大地の男   札5
ザイン = 双児宮 = 恋人たち 札6

金牛宮は元素の「地」を表します。これは決して悪い選択ではありません。いずれの場合でも「隠者」のカードは<隠者>の位階に、「恋人たち」のカードは<恋人>の位階に配当されています。これらはやはり順当な配置と言えます。私達は、どのようにして<大地の男>の位階に正しい配置を行うことができるのでしょうか?

私は、これまでにもセレマの「聖なる書物」に対する謎解きに従事し、クロウリーの他の神秘的文書にも果敢に挑んできました。私は、そのために長年ヘルメティック・カバラの方法論を使用してきました。クロウリーは、『易しい魔術』の中で、多くの興味深い考えを書き記しています。例えば、『法の書』の著者であるアイワス、又はアイワズは、ギリシャヘブライ、同様にアラブのカバラをも駆使すると述べています。彼はまた「名前とは、力の術式である」と述べ、ゲマトリアを用いて固有の名前を理解することの重要性を示唆しています。それはクロウリーが、魔術師アブ・ウィル・ディズ、妖術師アマラントラ、そして彼自身の聖守護天使であるアイワス等の秘密の首領達の性質を理解する為に用いた常套手段でした。加えるに彼はこう指摘します。「数字とは宇宙構造のネットワークであり、その相関性は私達の理解の表現を形成する」。そして彼の指導はこうです。「君は君自身のカバラを打ち立てよ! 君のカバラは私のカバラではない」

そして、これは私のカバラに基づいて配置したタロット・トランプと「三つの真なる位階」のオリジナルの対応です。


<私の対応 >

隠者   札9 ヨッド = 隠者の位階
恋人たち 札6 ザイン = 恋人の位階
宇宙   札21 タウ  = 大地の男の位階

三つの札の総計は36、スター・サファイヤの数値となります。それは6の二乗であり、Σ36は獣の数字である666となります。更に興味深いことに、それはOTOの数字でもあります(アイン、タウ、アインを全てフル・スペルで加算すると130 + 406 + 130でその総数は666となる)。兄弟シヴァは既に、A∴A∴が222であり、OTOが666の数値を持つことを明らかにしています。ここで沸き起こる疑問は、果たして私の対応に価値があるか否かであり、特にそれによって私達に益するところはあるのか?ということです。私は、私の対応の合理性、この私の象徴の旅と、東方聖堂騎士団の秘密のワークとの間に如何なる関連があるのかについて述べたいと思います。私達は、その為にまずは、三枚のタロットの札の意味を一枚一枚確認していくことから始める必要があります。



<隠者>


この札にはヘブライ文字のヨッドが割り当てられています。その意味は「手」であり、テトラグラマトン(IHVH)の最初の文字であることから、「大いなる父」をも意味します。ヨッドは、「創造の種子」、精子を示唆します。「隠者」の札には処女宮が配当されます。何故ならば、全ての創造されたものは、彼の処女性、孤立、沈黙と完全なる純潔さに由来するからです。「隠者」が手に持つランプの光は太陽の光であり、それは彼の創造性と啓明の力、加えて太陽666のロゴスを表象しています。太陽は、全てのものの根源であり、完全に純粋な力です。私達は『霊視と幻聴』の第5番目のアエティールで、「手」の神秘的な役割を見出します。


<5番目のアエティール >

「然るに、必ず上向きの矢と下向きの矢を峻別せよ。上向きの矢は飛翔の途中で力を失う。上向きの矢は、しっかりとした手によって放たれる。というのもイェソドは、ヨッドのテトラグラマトンであり、ヨッドは手だからである。一方、下向きの矢は、ヨッドの最先端から放たれる。そのヨッドとは「隠者」である。その最先端とは広げることのできない、ハディートの心臓に近い点である。」

「手」は、創造の技芸を示唆します。「隠者」はまた単一、全ての種子、神性の偏在の象徴です。


<恋人たち>



「恋人たち」、又は「兄弟たち」は世界の創造を表象しています。「隠者」の単一の「種子」は、ここで二つの要素に分割されます。それは双子を意味し、「水星」に支配される双児宮によって象徴されています。この札は王と王女、または司祭と女司祭の二者間の王宮の「婚礼」を表しています。この札に対応されるヘブライ文字はザインであり、その意味は「剣」です。これは正に「分割」の為の武器です。

「何故なら、われは愛の為に分裂させられたのだ。結合の機が熟する時の為に。これこそが世界の創造なり。分裂の痛みなど無に等しく、溶解の喜びこそがすべて。」
             『法の書』第一章29-30節   

これこそが世界の創造の秘密なり。「隠者」はこの聖なる婚礼の場面に登場します。分裂された二者の間に立ちはだかる重要な役割として。ロゴスを運ぶ者として。その存在は「グノーシスのミサ」では助祭が担う役割です。<トートの書からの引用 >

「このカードの中央部のフードを被った人の姿は、「隠者」の別の姿である。「隠者」ついては札9で後述する。彼は札1で述べたマーキュリー神の一つの姿である。自身が身をすっかり覆い隠していのるで、あたかも、はっきりと見えたり、分かるところには、物事の根源的道理は存在しないと言っているかのようである。」

「彼は入場者のサインをして立っており、創造の神秘的な力を放射しているかのようである。両腕には巻物があり、それは「言葉」を指し示し、それはまた彼の精髄でありメッセージである。」

「しかし、入場者のサインはまた聖別の祝福のサインであり、従ってこのカードに於ける彼の行動は、「ヘルメス的婚礼」の祝祭を表している」


<恋人たち>

法の言葉はセレマなり。「隠者」は、黒い王と白い王女の間の王宮の婚礼、或いはヘルメス的婚礼を司宰します。彼はヨッドを表す創造の力であり、同時に潜在的繁殖力と力強さでもあります。「隠者」は錬金術の「水銀 マーキュリー」であり、硫黄と塩を結合させる変容のエージェントです。イヴとリリスは、ビナーの二つの局面を表象しています。イヴはアイマなる豊穣の母であり、リリスはアマ、暗く不毛な母です。ここでは「隠者」は水銀の原理を持ちつつ、本来の大いなる父の豊穣性と男根、種子 – 精子、ロゴスを保持します。


<オルフェウスの卵 >

この札に登場するオルフェウスの卵は、男性と女性の術式の下、全ての生命の精髄を象徴します。「隠者」は、ヨッドの「創造」の力によって、この卵を受精させます。ギリシャの神話においてオルフェウスの卵は「宇宙」を内在させていると伝えられていることをご記憶下さい。それは王たる男根と王女たる女陰の婚姻によって創造されます。この卵は札9「隠者」にも登場します。「赤い獅子」「王」「ソル・フィロソフォルム」男根と、「白鷲」「王女」「ルナ・フィロソフォルム」女陰は、「皇帝」と「女帝」の二つの錬金術的染色剤に由来し、それら二つの極性はまた「火」と「水」の元素の要素でもあります。この王宮の婚礼は、彼ら自身による「新しい宇宙の創造」と関連しています。それはまたクリスチャン・ローゼンクロイツの化学の婚礼でもあります。<トートの書からの引用 >

「卵は灰色で黒と白が混じり、生命の樹の三つの至高のセフィロトの協力を意味する。蛇は紫色で、王女の色階では水星にあたる。それは自然の中に姿を現した神の影響である。一方、翼は深紅色に染まっており、その色は (王の色階では) 偉大なる母、ビナーの色である。この象徴は、従って「大作業 The Great Work」の開始に必要な均衡を表す完全なる絵文字である。」

オルフェウスの卵はまたコズミック・エッグであり、新たな宇宙を内在させています。「隠者」とは、ひとつの「種子」であり、それはまた純潔でもあります。「恋人たち」の札では、その単一性が「剣」の力によって二つに分割され、しかしながら王宮の婚礼の祝祭によって、一つの新しい宇宙として創造されます。「分解し、凝固させよSolve et Coagula 」、それはヘルメス的科学の基礎的術式です。



< 宇宙 >

これが「宇宙」です。「創造」の結果です。「宇宙」はオルフェウスの卵から流出した「創造」の最終顕現と完全性の絵文字です。<トートの書からの引用 >

「「愚者」の札が正しく始まりを象徴しているのに対して、このカードでは結果として、高感覚な「大作業」の完成の絵文字が描かれている。」

「「宇宙」が表象するテーマは「大作業」の完成の祝祭である。」

「これこそが「創造された宇宙」であり「大作業 Magnum Opus」の完成の「祝祭」である。無が無の範囲を認識すると全となる。おお、牧神パンの完全なる宇宙。」

「宇宙」にはヘブライ文字のタウが対応し、その意味は「十字」です。札の中の「眼」はホルスの眼であり、「蛇」は札20に描かれたアイオンの主たるヘル・ラ・ハです。土星と「地」の元素が、この札に配当されます。舞踏する女性は、新生した処女「宇宙」であり、また第9のアエティールに登場する美しきババロンの娘です。ここに母 = 娘の秘密があります。ここでは母と娘は、共にテトラグラマトンのヘーであり、この事実は『霊視と幻聴』に詳しく解説されています。札の四隅には4つのケルビムがおり、その配置は新しいアイオンの配置に従い置かれています。もしあなたがその効用を知っているとしたら、彼らは「スフィンクスの諸力」となり得ます。彼らは世界の「グノーシスカトリック教会」に於ける「光」と「生命」と「愛」と「自由」です。「宇宙」はOTOの「大地の男」の全ての位階のサイクルを包含しています。その径は「永久の径」と呼ばれています。



これが「世界の創造」です。「単一」なる「種子」としての「隠者」は、相反するもの同士の「王宮の婚礼」を祝祭します。そして彼らは新生した「宇宙」として結果を生み出します。


<アレフの書 >


アレイスター・クロウリーは『アレフの書』、又は「叡智と愚行の書」の86章に於いて「魔術の完全術式」のことをこう記述しています。

「ここに魔術のあらゆる作業のスケジュールがある。まず、最初に汝は真の「意志」を見出すべし。私は既にそれを汝に教示した。その「蕾」こそは、この「作業」の「目的」なり。」

「続いて、「蕾 – 意志」を「人」として定式化せよ。見出し、またそれを構築すべし。汝の「聖なるカバラ」とその「真理」の絶対確実なる規則によって名前を付けるが良い。」

「第3に、この「人」を浄化し、聖別すべし。彼と彼に抗う他の全てに集中するが良い。この「準備」を汝の日々の生活に於いて継続せよ。準備が整ったならば、それぞれの「誕生」の後、すぐさま新しい「子供」が現れよう。」

「第4に、「ミサ」によって特別、且つ直接に「召喚」すべし。入祭文とともに可視なる「子供」の心像を定式化し、「受肉の権利」を差出したまえ。」

「第5に、聖霊を求める祈りと共に「ミサ」を執り行え。汝の「獅子」と汝の「鷲」の結婚に「黄金の婚礼指輪」を供えよ。」

「第6に、程よくそれが汝に吸収されるまで行うが良い。汝の「意識」すらも打ち負かし、受け入れた「子供」を「聖餐式」により摂取するのだ。そして、それを継続せよ。それが「強さ」と「技能」となるまで繰り返すのだ。汝が、時間の許す限りこれを行えば、その「効果」は累積的なものとなるであろう。」



これがOTOに於ける魔術作業です! 私達の魔術とは「創造」であり、それは神だけの特別な技能でありません。「神は人なり、人は神なり」、これこそが私達の「聖なる団」のモットーです。 あなたの位階が然程高くなくても尻込みする必要はありません。あなたの「意志」に従い、この「創造」の作業を執り行うのです。魔術とは、あなたの「意志」に従い変化を引き起こす「科学」にして「芸術」なのですから。

社会的科学的啓明主義の真実に関する私の象徴の旅は、私達の団の聖なるレイメンを確認することによって終えるのが宜しいかと思います。


OTOのレイメンのデザインは、19世紀末のペラダン卿、又はマーティニスト・オーダーに代表されるフランスのオカルト復興に由来しています。それは明らかにメイソン的な象徴ですが、私達はそれをいかに分析できるでしょうか? 私達は、それをセレマの新しい象徴として理解しても良いのでしょうか? 「三角形の中の眼」は「右眼」であり、一般的に「ラーの眼」と呼ばれています。ラーはエジプトの太陽神です。三角形からは、12本の光条が放射され、黄道十二宮が示唆されます。それは、「創造」の象徴としての「隠者」のランプの光を示唆します。

O.T.O.のレイメンは、「意志の下の愛」という神学と共にある私達の中核的儀式、「グノーシスのミサ」、聖なる婚礼(ヒエロス・ガモス)、または聖餐式の象徴的表現であると云えます。「鳩」は、「隠者」の「種子」たる「父 – ヨッド – 火」を運搬します。そして「鳩」は燃え盛る「聖杯」へと下降していきます。
これは、「人間」へ向かう「外在する自然」の科学的図形です。それは生殖の力と真の「創造」の力をもたらします。「隠者」の「種子」は「鳩」によって運ばれ、王宮の婚礼という神殿で祝祭されるのです。「鳩」は金星の鳥であり、それが示唆するものは恋人たちの「愛」に他なりません。HIRILIUとは、クロウリーによれば、鳩の声であり、「聖霊」の形而上学的恍惚の名です。OTOのレイメンは、正に私達の中核的儀式であり、聖婚を表象する「グノーシス」のミサの象徴的表現であり、「創造の芸術」を表象します。「愛」は「子供」を創造します。この子供は、私達にとってホルスです。

「我が口は、太陽の生命の精髄とならん
我が口は、大地の喜びの精髄とならん。
 我の中に在りて、神ならざるものなし」

これは「神は人なり、人は神なり」の術式であり、私達の団のモットーです。「三角形の中の眼」は、太陽的男根であり「聖杯」は女陰、「鳩」は最も高きもののプネウマであり、聖霊、又は太陽のロゴスの運び手です。もうそうあるならば、新しい「宇宙」は創造されることでしょう。そうあれかし。

「隠者」「恋人」そして「大地の男」。それらは東方聖堂騎士団、社会的科学的啓明団の「三つの真なる位階」です。


<第194の書からの引用 >


「このようにして我々は三つ組みを均衡させ、三を一へと結合させるのだ。このようにして我々は人間の情熱と関心の全ての糸を集め、大いなる芸術とともに巧妙かつ、入念にそれらを調和のタペストリーへと織り込むのである。我々の団は夜の天にある星々においてさえ飾りに見えるかもしれない。虹で着色された織物の中で、我々は全宇宙の栄光を示す---汝、見よ、兄弟たる魔術師よ、汝自身の糸は強く純潔であり、その色彩は本質的に輝きである。今、汝の同胞達の全ての美に溶け込む準備はととのった!」

あなたは神の子として何を創造しますか?


<第15の書からの引用 >

「至高の秘密なる「主」よ、この霊的食物を我らが肉体に恵みたまえ、健康と富と強さと喜びと平和を我らに与えたまえ、そして意志と永遠の幸福である意志の下にある愛を成就させたまえ。」

「三つの真なる位階」である「隠者」「恋人」「大地の男」への私のタロットの照応は団の作業を暗示していると私は考えます。
それら三枚の札の数値の総計は36であり、それは「スター・サファイヤ」の儀式の数値です。またΣ36は666で、これはOTOの数字でもあります。あなたは1913年に出版されたこの儀式をめぐって、テオドール・ルイスとアレイスター・クロウリーの間に交わされた会話の内容についてご存じですか?
あなたは、あなた自身の「創造」の力を知るべきです。「隠者」「恋人たち」「宇宙」の三枚の札は、あなたの創造の象徴的プロセスです。
神は人なり、人は神なり。そうあれかし!


愛は法なり、意志の下の愛は。

AIVAS 78

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.


既にご存じの通り、『法の書』は、セレマ主義者達の中心的な「聖なる書物」です。それはエジプトのカイロにおいて、アレイスター・クロウリーの聖守護天使、または超人間的存在アイワス ( Aiwass ) によって、1904年の4月8日、9日、10日の三日間にわたって伝えられたものです。クロウリーが忘我の中で筆記したと述べる「聖なる書物」は『法の書』を含めて全部で13種類存在しています。それらの書物は、クロウリー自身の言葉を借りるならば、クロウリーによって書かれた他のいかなる書物とも異なる異質な一連の魔術書であり、預言書であり、教示書ということになります。全13種類の「聖なる書物」は、1983年、O.T.O.によって『春秋分点』第三巻九号として纏められ、出版されています。謎に満ちた暗号文書といってしまえばそれまでですが、確かに「聖なる書物」に書き記された散文詩は、カバラ的、魔術的なsecret codeに満ちています。それはクロウリーのセレマ主義の徹底的な研究抜きにしては理解し得ぬ一連の魔術書です。
http://d.hatena.ne.jp/HierosPhoenix/20070217


各々の書物には特別な番号が付与され、A∴A∴の各位階において研究され、また昇進試験の一環として、任意の書物の章がまるごと暗記されることになります。ここで一連の書物が書き記された日時を振り返ってみましょう。そこには一つの重要な鍵が明示されています。

第1の書 『Bあるいはマギの書』           1911年
第7の書  『諸書あるいはラピスラズリの書』      1907年10月30日
第10の書 『光の門の書』               1907年12月12日
第27の書 『聖三文字の書』              1907年12月14日
第65の書 『蛇に巻かれし心臓の書』   1907年10月30日-11月3日
第66の書 『ルビー・スターの書』    1907年11月25日
第90の書 『ツァダイあるいはヘルメスの釣り針の書』  1911年
第156の書 『ケスあるいはアビエグヌスの壁の書』   1911年
第220の書 『法の書』    1904年4月8-10日
第231の書 『アルカナの書』   1907年12月5-6, 14日 1911年
第370の書 『創造あるいは精霊の山羊の書』   1911年
第400の書 『タウあるいはカバラ三文字の書』   1907年12月13日
第831の書 『アラリタの書』    1907-8年 冬



重要な鍵は、それらの書物の受領日がA∴A∴が設立された1907年に集中しているということです。それは一体何を意味しているのでしょうか? 何故「聖なる書物」は1912年以降書き記されることがなくなったのでしょうか? クロウリーの『第61の書』は、『原因の書』とも呼ばれ、A∴A∴設立に関わる歴史注釈を含んでいます。この中でクロウリーは注目に値することを述べています。即ち、V.V.V.V.V.と呼ばれる「神殿の首領」( 8=3 ) によって語られた言葉が聖なる文書として書き留められ、A∴A∴に引き継がれたこと、そしてそれらの書物が上記の「聖なる書物」を指しているということです。クロウリーは、例えば『法の書』はアイワスと名乗る知られざる存在がカイロで、彼に『法の書』の三章を伝えたものであると『春秋分点』誌 第一巻七号 ( 1912年春分発行 ) で詳細にレポートしています。さて、『法の書』を伝えたのは、アイワスなのでしょうか? V.V.V.V.V.なのでしょうか? この謎かけを解いたのは、現代A∴A∴の権威、J. ダニエル・ガンサーですが、そのお話は別の機会に譲りましょう。


クロウリーによれば、『法の書』を伝えたアイワスの声は、彼の左肩の向こう、部屋の最も遠い角から聞こえてきたそうです。その声は深い声質で、音楽的で表現豊か。その口調は厳粛にして官能的・・・柔らかく、時に獰猛な声量あるテナーもしくはバリトン。アイワスは物理的な肉体を持たず、インセンスの煙のような繊細な物質から成り、背の高い、30代のがっしりとした男性に見えたそうです。意欲的で力強く、荒々しい王の顔つき。服装はアラブ風ではなく、アッシリアもしくはペルシャ風。古代エジプトの沈黙の神ホール・パー・クラァートの大使と名乗る謎の存在アイワス。その教えの中核は、人間の (真の) 意志の力が人を真の自由と解放へと導くということです。そして書全体は、新しい時代 (ホルスのアイオン) の魔術の術式についての深遠な教義の開陳に他なりませんでした。書全体が「220」節からなることから、『法の書』は、『220の書』(Liber CCXX)と呼ばれています。実は、『法の書』以外の「聖なる書物」は、前述したようにクロウリーが忘我の状態で半ば自動筆記されたものです。そういった意味では、『法の書』は一風変わった方法で得た文書、即ち自動記述ではなく、アイワスの口述を筆記した文書ということになります。そしてそれは、クロウリーが受け取った最初の「聖なる書物」でもありました。


アレイスター・クロウリーは『神々の春秋分点』の中で、この知られざる実在について指摘しています。

“私は、アイワスがかつてシュメールにおいて「神」、「デーモン」または「悪魔」として聖化されていたのみならず、私自身の守護天使であるということを信じたい思いに傾いている。しかし、彼が人間の肉体によって彼が愛している人類との魔術的リンクを形成しているという意味において、彼はまた私である。それ故に彼こそは「銀の星」団の首領であり、イプシシマスなのである”


守護天使、アイワス、イプシシマス。それらの言葉は謎に覆われた用語です。しかし、全てのセレマイトは全力をもってその謎を理解することに努めるでしょう。しかし、どのようにして私達はそれらの用語を正しく理解することができるのでしょうか? アレイスター・クロウリー自身も初めは大いに当惑していました。突如として彼の魔術キャリアの中に発生した異常現象、彼はそれを理解する為に5年か、それ以上の年月を必要としました。


ここで1909年にクロウリーの魔術キャリアの上に何が起こったのかを少しだけ説明しましょう。彼が、彼自身の魔術結社A∴A∴の公式な機関誌である『春秋分点』の発行を開始した頃のことです。クロウリーとその弟子ビクター・ベンジャミン・ノイバーグは、これといった魔術的目的もなくアフリカのアルジェリアの地を旅していました。この一見無意味な旅は、彼らにとって、あるいは現代の全てのセレマイトにとって、とてつもなく大きな意味を持っていました。


“私はなぜ、または如何にしてその構想が去来したのかを想像だにできない。恐らく、私のリュックサックの一つに私の初期の魔術のノートブックが入っていて、その中にエリザベス朝の占星術師であったディー博士とともに作業し、然るべき天使達から計り知れない忍耐によってエドワード・ケリー卿が獲得した19の「召喚」または「鍵」を口述筆記した文書の写しが入っていたからであろう。
彼らの六番目の魔術作業は、あらゆる時代の魔術作業を鑑みても、正真正銘にして興味深い稀有なものの一つであり、それはカソーボンによって英訳されている。それらの作業の多くは、未だに説明が困難な代物だが、私とA∴A∴の大達人、兄弟センパー・パラツス(トーマス・ウィンドラム) によって膨大な時間をかけて調査され、また多くの不明点が解明されたものである。
アレイスター・クロウリーの告白』 第66章



この魔術作業は『霊視と幻聴』として整備され、『春秋分点』誌 第一巻五号に発表されました。『霊視と幻聴』は、近年になって現代A∴A∴の誉れある兄弟V.V.によって編集され、再出版されています。そこにはクロウリー自身の手による象徴の解説が含まれています。端的にいえば、この作業は『黄金の夜明け』団を経由して、クロウリーにもたらされたエノキアン魔術の共同実践作業です。アレイスター・クロウリーとその弟子ビクター・ノイバーグは、幻視者と筆記者として共に作業し、アルジェリアの砂漠で、30ものアエティールを連日召喚したのです。ともあれ『霊視と幻聴』は、セレマと『法の書』を理解するための重要基本文献です。彼の聖守護天使アイワスは8番目のアエティールに再登場し、彼に天使の召喚方法、即ち「聖守護天使の知識と会話」の技法を伝授しました。


それぞれのアエティールの天使達は、新アイオンの術式である「N.O.X.」や「深淵の試練とコロンゾン」、「ババロン」や「ネモ」といった多くの教義を明らかにしました。『霊視と幻聴』は、セレマの大いなる神秘の宝石箱です。とはいえ、『霊視と幻聴』は膨大な作業記録であり、極めて難解な書物であることに間違いありません。言うまでもなく、私はそこに書かれていることを全て説明することは出来ません。しかしながら、私は毎夜それを愛読し、インスピレーションと至福を、酩酊とロマンスを享受しています。そう私は”ロマンス”と述べました。なぜならば、全ての「聖なる書物」のメイン・テーマは「愛」、アガペー( 無償の愛 ) なのです。”愛は法なり、意志の下の愛は”。


彼の聖守護天使アイワスが、8番目のアエティールに登場したことは先にも述べました。アエティールは番号が少なくなるほど、霊的到達度が高くなります。従って、作業は第30番目のアエティールの探索から始まり、第1番目アエティールの探索で完結します。「大作業」の最大の難関である「深淵越え」は、第10番目のアエティールでのコロンゾンとの戦いに勝利することによって達成されます。8番目のアエティールの主題は、アイワスによる「聖守護天使の知識と会話」の実践課程の教示です。さて、どうして「深淵横断」という最後の試練の後、即ち、第10番目のアエティールの後にティファレトと関連した「聖守護天使の知識と会話」の教示がなされたのでしょうか? 順番が逆のようにも思えます。「大作業」は、「大いなる帰還の径」としてマルクトからスタートし、順次「生命の樹」を上昇していきます。この観点から、「深淵横断」の後に「聖守護天使の知識と会話」の教えが伝えられるのは矛盾しているといえます。さて、この謎もJ. ダニエル・ガンサーによって解き明かされています。彼は、5=6 小達人が成し遂げる「聖守護天使の知識と会話」だけではティファレトの「聖なる婚礼の間」に住まうことは不可能であり、深淵を越えた「神殿の首領」のみが、ティファレトに住まい、Hieros Gamosを達成するのだと述べています。5=6 小達人が住まう宮殿は、あくまでもマルクトだというのが彼の意見です。そして彼は、それこそが10番目のアエティールの通過後に、8番目のアエティールにおいて「聖守護天使の知識と会話」の実践過程が教示された理由だとしています。この解釈は、「大作業」の深遠な教義に関連している為、興味をお持ちの方は是非ガンサーの_The Angel & The Abyss_ 第六章 (「神の憤怒」)をお読みください。さて、次はアイワスの数値に関する解釈です。


第8のアエティールの中で、アイワスはクロウリーにこう伝えています。

“ 私の名前はアイワスと呼ばれる。それは8と70である。そして私は「隠された者」の影響にして8と70からなる輪である。”


8と70、即ち78こそがアイワスの数値であるとクロウリーが考えた理由がここにあります。また78枚からなるタロットも即座に想起されます。クロウリーは『春秋分点』第一巻五号所収の「ゲマトリア」において、78を王冠、最も崇高なるケテルからの影響力 Mezla (その数値は78 ) と関連付け、その鍵はタロットであると述べています。そして78を最も高揚された神のメッセンジャーの名前の数値であるとしています。この段階で、クロウリーはアイワスの綴りをAIVAS ( = 78 ) としています。ところが、後にこのAIVAS 78のゲマトリア換算は、間違いであったとクロウリーは考えるに至ります。クロウリーは、Aiwaz (ヘブライ文字変換)と綴りを変え、その数値を93と算出しました。そしてもう一つの換算としてAiwass = 418 (ギリシャ文字変換)を定義しました。
http://d.hatena.ne.jp/HierosPhoenix/20070609


クロウリーは、まるでAIVAS 78の変換が若き日の過ちであったかの如く、この変換を否定しています。ではどうしてアイワスは、自分の数値が78であると示唆したのでしょうか? 故意に間違った数値をクロウリーに伝えたのでしょうか? それともそこには他に意味があるのでしょうか?


クロウリーは、自身のゲマトリア辞典『セフィール・セフィロト』の中で78の数値に関して次のように述べています。” Huaとしてのケテルの神秘数 ”。
HVAは、ヘブライ語で 「He」を意味し、ケテルと関連した神性名のバリエーションの一つです。その数値は12であり、黄道十二宮と関連させ、「12 の星々の家」、「Kether with the Zodiac」と解釈 されています (78と12の関連性は、78 = Σ( 1-12)として関連付けられます )。クロウリーは78という数値としてのMezla、即ち「創造の過程におけるケテルからの神聖な力の下降」と深く関連付けました。「黄金の夜明け」団の象徴体系においてそれは「燃える剣」(Flaming Sword) として知られています。「燃える剣」は、頂点であるケテルから発し、全てのセフィラを通過しながら、「生命の樹」の上をジグザグに下降していきます。即ち、王冠であるケテルから下降する神聖なる影響力の下降 = Mezlaそのものといえます。

“ 私の名前はアイワスと呼ばれる。それは8と70である。そして私は「隠された者」の影響にして8と70からなる輪である。”


万物を貫く「燃える剣」は、逆にマルクトからケテルへと向かう「智慧の蛇」とセットになっています。アレイスター・クロウリーは、この万物を貫く「燃える剣」の数値が「777」であることを『セフィール・セフィロト』の中で明らかにしています。頂点であるケテルから、最下位のマルクトまでを接続する各小径の内、ケセドとビナーを直接繋ぐ小径は存在しない為、クロウリーはその小径をギメル (ケテルとティファレトを繋ぐ小径 ) で代用しています。


ケテル - コクマー  アレフ 数値1
コクマー - ビナー  ダレス 数値4
ビナー - ケセド   ギメルにて代用 数値3
ケセド - ゲブラー  テス  数値9
ゲブラー - ティファレト ラメド 数値30
ティファレト - ネツァク ヌン 数値 50
ネツァク - ホド   ペー 数値80
ホド - イェソド   レシュ 数値200
イェソド - マルクト タウ 数値400


1 + 4 + 3 + 9 + 30 + 50 + 80 + 200 + 400 = 777



これこそが、クロウリー万物照応表の集合体を『777の書』と呼んだ理由です。
次にこれらの小径に対応したタロットの大アルカナについても見てみなければなりません。

ケテル - コクマー  アレフ 愚者 0
コクマー - ビナー  ダレス 女帝 III
ビナー - ケセド   ギメルにて代用 女司祭 II
ケセド - ゲブラー  テス  欲望 IX
ゲブラー - ティファレト ラメド 調整 VIII
ティファレト - ネツァク ヌン 死 XIII
ネツァク - ホド   ペー 塔 XVI
ホド - イェソド   レシュ 太陽 XIX
イェソド - マルクト タウ 宇宙XXI

0 + III + II + IX + VIII + XIII + XVI + XIX + XXI = XCIII


ローマ数字「XCIII」、即ち「93」です。


“ 私の名前はアイワスと呼ばれる。それは8と70である。そして私は「隠された者」の影響にして8と70からなる輪である。”


Mezlaとしての78は、78からなるタロットでもあり、「燃える剣」はタロットと照合させると93になるのです。これは少しばかり興味深いアイワスからのカバラ・クイズです。クロウリー晩年の弟子達への指導書簡を編集した『容易な魔術』( Magick Without Tears) の第4章( The Qabalah,The Best Training for Memory ) の中で、クロウリーはこう述べています。


・「ギリシャヘブライ、ほとんどアラビア的なQabalah, それらが『法の書』の著者( アイワス )によって使用されている」 
・「数字は宇宙構造のネットワークであり、その関連は私達の理解の発現を形成する」
・「それ( 生命の樹 )を後方から、前方から、側面から、そして引っくり返して知るべし。そして君の全ての思考の自動的なバックグラウンドとなるようにせよ」


クロウリーは、アイワスが大のクイズ好きであったことを身を持って知っていたのでしょう。そしてカバラを自らの体系の基盤として、弟子達にその学びを示唆したのです。クロウリーにしてみれば、自身の身の上に起こったアイワスからの呼びかけや「聖なる書物」の自動記述、魔道師アブ・ウィル・ディズや妖術師アマラントラの訪問を正当に理解する法則や基準など他に何も持ち合わせていなかったのですから。彼がゲマトリアを重要視したのは、それぐらいしか散りばめられた謎にヒントを与えてくれるものがなかったからに他なりません。それ程、彼の魔術人生には奇妙なことが起こり続けたのです。


愛すべき聖守護天使アイワス、彼の知性は確かに人間のものではないようです。

Love is the law, love under will.

Magick Classroom

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.




昨年の10月31日ハロウィーンの夜、芸術家マンタムさんのお誘いで原宿にあるh. Naotoさんにて挙行されたハロウィーン・パーティーに参加させていただきましたが、今年もまた別の魔術企画をいただきました。

http://heavenscafe.net/?pid=94595963

今年は、A STORY新宿新南口店様にて、魔術師による「魔術の教室」を開催させていただきます。「魔術」という言葉自体は日本ではごく普通に用いられる一般用語です。漫画や小説、映画の世界では人気の「魔術」的ファンタジック・ワールドですが、その実際の姿、存在意義、修行体系などはほとんど知られていません。ましてや、この日本にも魔術結社が実在し、日々訓練に従事する魔術師達がいるなどとは、想像すらできないでしょう。

今回の魔術教室の内容ですが、まずは初めて魔術に接するであろう参加者の皆さんの為に、そもそも私自身がどのようにして魔術の世界に参入することになったのか、その邂逅のあらましから始めたいと思います。続いて魔術の実像---その定義や「大作業」の意義、儀式やアストラル・プロジェクション等の魔術師たちが実践する作業についても触れたいと思います。勿論、私が研究し続けているアレイスター・クロウリーの教義や、彼の魔術的な遺産、そしてその真の意味についても語りたいと思います。

平日の夜 ( 10月30日金曜日19:30 開場 ) の開催ではありますが、興味のある方は、是非ご参加下さい。


Love is the law, love under will.

Flash of Awakening終了しました

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.

8月29日 東京。
Flash of Awakening 〜西洋魔術と意識の新たなる目覚め〜」は無事終了いたしました。意義深い本イベントに講演者の一人としてご招待いただいたSoror Kさん、並びに当日会場にお越しいただいた皆様に改めて深くお礼申し上げます。勿論、主催者サイドとしてイベントの準備にご尽力いただきましたN様にも大感謝です。

本イベントは、西洋魔術の概論、目的、活動に関する実践者の視点に焦点を当てた画期的なものでした。私は、個人的に今回のイベントを「日本人としての霊性を見つめ直す」意義ある時間の共有であったと考えています。「魔術は、神秘を眺め、その叡智を楽しむ大人の趣味・娯楽」。日本ではスタンダードなこの価値観を逸脱し、自分自身を変性させる「回帰のプロセス」への参入に触れた本イベントは、実は日本ではあまり前例のないものであったと思います。イベント報告に関しては、下記のF.L.O. Japanのブログをご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/lvxtokyo/55543731.html

事実、これまで結成、設立されてきた日本人の魔術結社、グループは、すべからく趣味の同人サークルを越えるものではありませんでした。この場合、二つのパターンがあります。一つ目は、あくまでも魔術の趣味性を安全装置として用いて、常に客観的に魔術に良識あるアプローチを心掛ける < 良心派 >。もう一つは、その実像そのものが、実際の魔術結社やグループの活動には及びもつかない < 妄想派 > です。魔術を趣味として満喫するという視点は、どちらかというと宗教に疎遠で、明治以降の廃仏毀釈によってその霊性を歪められた日本人に独特なものです。従って、日本には霊的伝統の遺産が溢れ返っているにも関わらず、その深い意味はあまり顧みられることはありません。私は、個人的に「魔術 = 趣味」を否定するものではありません。というよりも一般的な日本人の感覚では、Golden DawnやThelemaの体系は趣味以上のものには到底なり得ないでしょう。従って、正直にいうと日本人が捉える魔術観は、どれも凡庸で退屈なステレオタイプになってしまう傾向があります。その原因は、根底にある霊性の追求に距離を保ちながら、西洋魔術のコンセプトだけを単に表面上複製しているためでしょう。例えば、「奉仕のために魔術を行う」という日本でも有名なフレーズは、一般的な日本人なら少なからぬ違和感を覚えるものではないでしょうか? 実は、この金言は、W.E.バトラーの「光の侍従」団のみならず、A∴A∴でも強調されていますし、今回のイベントに参加された方々には周知のことですが、F.L.O.でも強く主張されている概念です。この見返りのない「奉仕」の意義は明白です。回帰の径の途上では、「個」の奉仕は、「全体」の奉仕として連綿と織り継がれるタペストリーの一部を形成し、その道を行く者の松明として明るく道を照らしてくれるのです。これは単なる比喩ではなく、その体験を知る者には自明の理以外のなにものでもありません。

私が知る限り、海外に本拠を構える魔術結社の支部が幾つか日本にも存在しています。私自身が日本の代表を務めるO.T.O.はその内の一つです。そしてもう一つが、先にご紹介したF.L.O. Japanです。こういった海外の魔術結社の醍醐味の一つは、本場の魔術師達との深い交流が可能だということです。生まれも育ちも全く異なる異国の魔術師達との交流は新鮮かつ刺激に満ちたものです。その場合、日本ではスタンダードな「Magick = Hobby」はほぼ通用しませんし、良識的だと思われることはありません (どちらかというと不遜だと捉われてしまいます)。

今回、とても歓迎すべき情報が飛び込んできました。F.L.O. Japanが東京でオープンな勉強会を開催するとのことです。
http://blogs.yahoo.co.jp/lvxtokyo/55547709.html
主催者のSoror Kさんは、私が知る限り「もっとも本場の感覚を熟知した」インターナショナル・マジシャンです。F.L.O.のプロベイショナー教材を基にした学習が展開されるようですから、この好機を逃す手はありません。是非、皆さん積極的に参加してみて下さいね。

Love is the law, love under will.

Liber H.H.H.

Do what thou wilt shall be the whole of the Law.


「銀の星」団 A∴A∴を創設した当初、クロウリーは偉大なる二つの神の名を結合させ、一つの重要なドクトリンを作り上げました。二つの神の名の結合はマクロプロソプスとミクロプロソプス、大宇宙と小宇宙の結合を表し、六文字からなる結合された神の名前の各文字は六芒星の角にそれぞれ割り当てられました。この六文字の内、三文字はカバラ的に変換され、別の偉大なる神秘名が導き出されることになりました。彼が得意としていたゲマトリアの手法を用いて、その変換された名前の数値を割り出すと、それはヘブル語で「救世主」を表す数値と等価となり、更にそれは旧約聖書に登場する悪しき「蛇」の数値でもありました。カバラ的に変換される前の統合された一つの神の名前の内の三文字は、< H.H.H. > であり、残りの三文字は < I.A.O. > でした。

『H.H.H.の書』は1911年の春分に刊行された魔術師達の為の百科全書『春秋分点』第一巻五号に掲載されました。後にクロウリーの代表作である『魔術 理論と実践』(1929年初版) に再録された際には削除されてしまった書の冒頭の記述は、後に刊行された兄弟ハイメナエウス・ベータ編纂による『ABAの書』(1994年初版) で復活し、この稀有な魔術指導書を理解する為の重要なヒントを提供しています。アレイスター・クロウリーによれば『H.H.H.の書』は、” 意志された一連の思考を通して成就を遂げる為の三つの方法 ” を教示した指導書ということになります。『魔術 理論と実践』に再録された際には削除されてしまった記述によると、神に到達する道として二つの方法があると定義されています。それは六芒星を形成する二つの三角形、即ち、上向きの「火」の三角形に表象される心を燃え上がらせるアクティブな方法と、下向きの「水」の三角形に表象されるパッシヴな方法です。双方の三角形は、それぞれ三つの原理からなり魔術師を達成へと向かわせます。更に『H.H.H.の書』に於ける三つの達成原理は、それぞれ < ピラミッド >、 < 死体 >、 < 男根 > であるとクロウリーは述べます。一方、もう一つの指導書『I.A.O.の書』( 第17の書) は厳密にいうとクロウリーによって ”書かれなかった” 書として、現存は確認されていませんが、現在では公刊されている『活性化された熱狂主義』(第811の書) がそれに相当、或いは類似した書であることが定説となっています。
これら『H.H.H.の書』と『I.A.O.の書』が結合すると、統一された偉大なる神の名が召喚され、不動の六芒星が確立されます。

『H.H.H.の書』に与えられた書の数値は < 341 > であり、それはヘブル・アルファベットの「三母字」、即ちアレフ、メム、シンの総和となります。『H.H.H.の書』で教示される三つの瞑想はそれぞれ「MMM」、「AAA」、「SSS」という三つのセクションに分割されており、「M」はメム = 「水」の原理を、「A」はアレフ = 「風」の原理を、「S」はシン = 「火」の原理をそれぞれ表しています。実はこの三つの瞑想は、A∴A∴の外陣のワークの極めて重要な要素を担っています。

「MMM」のセクションで提示される不思議な瞑想は、初読者には謎以外のなにものも提供しません。瞑想者はヨガの座法をキープし、その不思議な観想を行います。重苦しい夜の海は稲妻に引き裂かれ、瞑想者は毒蛇に22回も噛まれることになります。やがて卵である瞑想者は、赤と緑と銀と黄金の十字架に取り囲まれます。聖守護天使に一心に祈り、拡張した光 L.V.X. の恍惚の中で瞑想者は静かに瞑想を終えます。この不可解な瞑想は、実はA∴A∴の1=10 ニオファイト位階の参入儀式『門の書』のアウトラインを描いたものです。そしてこの儀式は、文字通り、聖守護天使の降臨を実現させる驚嘆に値する集団儀式です。この試練は、A∴A∴では「聖守護天使の幻視」と呼ばれています。
http://d.hatena.ne.jp/HierosPhoenix/20130704
「聖守護天使の幻視」に於ける変成作業に関する明確な記述をJ.ダニエル・ガンサーの名著『子供の時代の秘儀参入』から引用してみましょう。

“「聖守護天使の幻視」は、ヴィジョンやトランス状態とは何の関連性もない。それはネフェシュを無益で未制御なままの状態から、“固有の言葉”への注意深い状態へと変成させることである。その言葉は知られてはいないものの確たるものであり、真の熱望の実証によって自明の理として宣言される。” “ネフェシュの領域で生起した”聖守護天使の幻視”よりイニシエーションの結果が生じる。変化の触媒、また同様に変成のプロセスそのものは探求者の無意識のうちに始まる。”

A∴A∴の1=10ニオファイトは、「MMM」セクションの瞑想を反復して行い、この変成作業を意識と無意識の双方に定着させます。そしてニオファイトの参入儀礼である『門の書』を体験した参入者にはもはや、< 22回噛みつく毒蛇 > や、< 赤と緑と銀と黄金の十字架 > は謎の符号ではなく、その真の意味が理解され、深い瞑想の対象となっています。「MMM」のセクションは < ピラミッド > に対応します。その意味は明白で、参入者はかの偉大なるピラミッドの内部でこのイニシエーションを受けることになります。


「AAA」のセクションは、続く 2=9 ジェレイター位階の参入儀式『死体の書』のアウトラインを描いたものです。瞑想者はまず自分自身の死のプロセスを観想します。死へと至るプロセスは、それが現実と見間違うほどに周到に、且つ詳細に観想されなければなりません。やがてミイラとして防腐処理を施された瞑想者は、今度は逆に蘇生のプロセスを事細かに観想することになります。死体である彼にやがて生命たる息と光、声と口づけが到来します。それは長い眠りからの目覚め、聖守護天使からの接吻でもあります。Mors Janua Vitae “ 死は生命の門なり ”、そう『死体の書』はエジプトの『死者の書』をベースに置いたエジプト様式の儀式です。死と復活の要素は西洋の秘教的な参入儀礼の最も普遍的なテーマですが、この教義は、古きアイオンではティファレトに関連付けられた最高の達成の証でした。A∴A∴の2=9 ジェレイター儀式は、旧来の「黄金の夜明け」団の 5=6 ジェレイター・アデプタス・マイナーの参入儀式に対応していると考えても別に間違いではありません。死から復活した瞑想者は、地下世界を旅し、卵へと変成し、やがて東の地平線から太陽として上昇します。

『死体の書』に与えられた数値は < 120 > で、これはヘブル文字のサメク (月 = イエソドと太陽 = ティファレトを連結する小径 ) をフルスペリングした数値であるだけではなく、O.T.O.内部で秘密とされているある言葉の数値でもあります。また死去から120年後に復活したクリスチャン・ローゼンクロイツの伝説とも関連しています。2=9 ジェレイターは、この儀式で < 小さき贖罪 > を成し遂げます。ティファレトからイエソドへとシフトされた死と復活の儀式によって、参入者は全身を覆う包帯を脱ぎ去り、サンダルを履き暗黒の地下世界を歩き始めます。彼は自らを殺めた者、アンク・アフ・ナ・コンスとなり、大いなる生殖力たる光の卵となり復活します。そしてこの儀式を通過した者は、Order of Thelema ( セレマ団 ) へと受け入れられます。彼は大いなる太陽神 ラ・ホール・クイトと自分の魂を同一化させることでしょう。『法の書』に曰く、

“ Raの玉座の上に現れよ! Khuの道を開け! Kaの道を照らせ!
Khabsの道がかけ抜ける! われを奮起させるべく またはわれを静めるべく
Aumよ!われを殺めさせよ!”
    ( 第三章37節 )

「AAA」のセクションは < 死体 > に対応します。その意味は既に明らかでしょう。


「SSS」のセクションは、3=8 プラクティカスに課された重要な瞑想課題です。瞑想者は体内の脊髄基底部に眠るシャクティ、クンダリーニの蛇の覚醒を目指します。ヨガの座法にて心身共に安定した瞑想者は、自分の脳が大いなるイシスの子宮、星々の女神ヌイトの身体そのものであると観想します。続いて基底部をオシリスの男根、またはヌイトのパートナーであるハディートであると観想します。瞑想者はここから全身全霊を傾け、 < 火の蛇 > を蘇生させ、脊髄を上昇させることに集中します。クンダリーニの覚醒は勿論、簡単なことではありません。また不用意にそれを目覚めさせようとすると、所謂クンダリーニ症候群を引き起こし、心身共にダメージを受ける危険性が大いにあります。A∴A∴では、2=9 ジェレイター位階に於いて、徹底してヨガの座法と呼吸法を修練させ、また精神集中と霊的なバランス感覚を訓練させます。「SSS」のセクションに挑む者は、まずは長年にわたる訓練課程を経てからこの技法にチャレンジする必要があります。

クンダリーニは、体内に眠り続けるコズミック・フォースであり、セレマの体系では有翼の球体であるハディートに対応します。

“ われは、跳躍せんととぐろを巻く秘密の蛇なり。とぐろを巻く中に喜びはある。
われが頭をもたげるならば、われとわがヌイトは一つなり。われが頭をうなだれ、
毒液を前方へと浴びせるならば、その時地上は狂喜し、われと地上は一つとなる。”
              『法の書』第二章26節

クンダリーニは、もっとも精妙かつ高次のエネルギーであり、その姿は幻視者たちによって蛇に喩えられています。とはいえ、私はこの瞑想によって実際にクンダリーニが覚醒し、上方に移動した時のことを絶対に忘れることは出来ません。それはおおよそ私が知る限り、これ以上はないというぐらいに < 完全に物理的 > な < 動的エネルギー > として体感されました。プラーナによって刺激されたムーラダーラ内のシヴァ・リンガムに絡みつく灼熱の蛇は、むっくりと起き上がるとスシャムナを上昇し、スバディスターナ、マニプーラを徐々に上昇し、アナハタでエネルギーが拡散するまで上昇を続けました。正に下腹がえぐれるかのような絶対的な動的エネルギーの移動でした。この行法は危険なものでもあり、あまり詳しく書くことは憚られますが、面白いことに故ケネス・グラントは「SSS」は蛇を男根のようにイメージできる女性の方が男性よりも上手く行えるだろう、と指摘しています。

「SSS」のセクションは < 男根 > に対応します。その意味もまた既に明らかでしょう。< ピラミッド >と < 死体 >と < 男根 > としての『H.H.H.の書』の訓練は、A∴A∴の外陣に於ける連続的な体験を補足し、維持し、刺激し、強化するものです。大いなる統一された神の名前は、A∴A∴にもO.T.O.にも強大な影響を及ぼしています。ただし、そのことは殆どの参入者にとっても深い謎に包まれたままなのです。


Love is the law, love under will.